祭竒洞

姑らく妄りに之を志す。

ヴィイ調査ノートに関する記事・分岐点

『新版 ヴィイ調査ノート』に関する各情報については下記リンクをご参照ください。

 


『新版 ヴィイ調査ノート』概要

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『新版 ヴィイ調査ノート』通販について

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『新版 ヴィイ調査ノート』補遺

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『新版 ヴィイ調査ノート FGO異聞』

https://note.com/namak/n/n300073c175cf

(note、有料) 

 

そもそもヴィイとは何か

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ヴィイなんでも入門

ヴィイについて日本でいちばんくわしい同人誌と言い張っている新版 ヴィイ調査ノート』ですが、168ページほどあるのと手に入れる方法が限られていることからヴィイのことを手っ取り早くざっくり知るにはあまり適していないかもしれません。
そこで自分の知識の範囲でヴィイをざっくり説明する記事を公開してみることにしました。
本日ゴーゴリの誕生日だそうで、そのお祝いということで。
 
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ヴィイとは、ロシア帝国の作家ニコライ・ゴーゴリの小説「ヴィイ」(《Вий》、1835年発表の小説集『ミルゴロド』所収)に登場する魔物である。

 

1.概要

ヴィイ」において、他の魔物たちが見ることも触ることもできない場所を見通す存在として登場する。

神学生ホマー・ブルートを狙う魔女は、ホマーが床に描いた円の呪力に妨げられて円の中にいる彼の姿を見ることも襲うことも出来ない。魔女は多くの魔物を呼び寄せるが彼らもホマーを見つけられず、最後にヴィイが呼ばれることとなる。

作中でヴィイは、ずんぐりとした体型、土にまみれた体、鉄の顔と指、木の根のような手足、地面まで伸びた長いまぶた、地の底から響くような声と描写される。まぶたを他の魔物に持ち上げさせ、ホマーと目を合わせることで円の中を見通し、円の呪力を失わせた。

ゴーゴリは作品に付した自註でヴィイが民衆の想像力によるものであること、ノームの親玉でありまぶたが地面まで垂れていること、「ヴィイ」が民間の伝説のとおりであることを述べている。

 

2.ヴィイに関わる伝承

ゴーゴリは上記のとおり「ヴィイ」作中でヴィイを民間の伝説であるとしているが、現在のところヴィイが明確にフォークロアに登場した事例は知られていない*1ため、ヴィイゴーゴリの創作であるとの説が有力である。

ただし、聖カシヤーン、「疥癬かきの」ブニャク、ソロディヴィイ・ブニオ*2など、超自然的な力がある目とそれを覆い隠す長いまぶた/眉毛/まつ毛を持つ存在は、ゴーゴリの出身地であり「ヴィイ」の舞台でもあるウクライナをはじめ東欧に伝承され、ヴィイのイメージの元となったことが推測される。

 

3.ヴィイが登場する作品

網羅することは難しいため、日本国内の作品及び日本で視聴が容易な作品を何点か挙げる。

 

◎漫画

水木しげる「異形の者」(1964)、「妖怪魍魎の巻 死人つき」(1967):「ヴィイ」を新潟県の話として翻案したもの。ヴィイは土精という名で、一つ目の妖怪として描かれる。

速水螺旋人「靴ずれ戦線ペレストロイカ」(2019):「ニコライ・ワシーリエヴィチの怪物」に登場。

 

◎映画

妖婆 死棺の呪い』(1967・ソ連):別題『魔女伝説ヴィー』、原題《Вий》。ゴーゴリの原作をほぼ忠実に映画化したもの。

『レジェンド・オブ・ヴィー  妖怪村と秘密の棺』(2014・露):原題《Вий》。原作の後日談として描かれる。

『魔界探偵ゴーゴリ  魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚』

(2018・露):原題《Гоголь. Вий》。ゴーゴリを主人公とする『魔界探偵ゴーゴリ』3部作の2作目。

 

◎ゲーム

女神転生』(1987)、『旧約・女神転生』(1995):いずれも一つ目の姿で描かれている。

Fate/Grand Order』(2015-):登場キャラクターの一人であるアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァと契約した精霊として登場。

 

(参考)その他Web上で読めるヴィイ関係論文等・適宜追加予定

 

飯田梅子「ゴーゴリと<レノーレ譚>」(『文化と言語:札幌大学国語学部紀要』札幌大学国語学部、2013)

https://sapporo-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=6869&item_no=1&page_id=13&block_id=17

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とりあえずこんな感じで皆様のご機嫌を伺おうてな具合ですが、いかがでございましょうか。

 

以上を踏まえまして、言いたいことは以下2つ。

◎どなたか青空文庫の平井肇訳「ヴィヰ」を校正してくださると嬉しいです。

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/list_inp207_1.html

 

◎『新版 ヴィイ調査ノート』で更に詳しくヴィイについて書いてますので興味ある方はどうぞ。こちらで通販しています。

 

著者をして「一番の売り」と言わしめた表紙はこんな感じです ↓  

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以上、せっかくの万愚節に嘘・法螺・ネタ皆無でお送りいたしました。

 

 



*1:「結局今日もなお「この物語全体は民衆の言い伝えである」とのゴーゴリの自注を裏付けるものは見出されていないし、今後もおそらくは見出されないだろう」

諫早 勇一「ゴーゴリの『ヴィイ』の材源をめぐって」(『人文科学論集 15』信州大学人文学部、1981)

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1143&item_no=1&page_id=13&block_id=45

 

「このようにウクライナフォークロアにはヴィイの名とゴーゴリの与えた属性を兼ねそなえている神話的存在は結局のところ文証されていない」

伊東一郎「<ヴィイ>--イメージと名称の起源」(『ヨーロッパ文学研究 32』早稲田大学文学部ヨーロッパ文学研究会、1984

 

ゴーゴリの作品に登場する「ヴィイ」は,名称としてはスラヴ・フォークロアに文証例はない」

伊東一郎「<<Славянская мифология. Энциклопедический словарь.>> Москва, Издательство <<Эллис лак>>, 1995, 416с.(書評)」(『ロシア語ロシア文学研究』日本ロシア文学会、1996)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10924757

*2:聖カシヤーン及び「疥癬かきの」ブニャクについては栗原成郎『ロシア民俗夜話』(丸善ライブラリー、1996)、ソロディヴィイ・ブニオについては伊東一郎「<ヴィイ>--イメージと名称の起源」(『ヨーロッパ文学研究 32』早稲田大学文学部ヨーロッパ文学研究会、1984)で言及されている。なお後者の論文で引用された資料においては、ソロディヴィイ・ブニオは(ルーシへの)モンゴル侵入の記述に登場するボニャクがモデルと目されているようである。

新版 ヴィイ調査ノート 補遺

麻野嘉史『新版 ヴィイ調査ノート』(祭竒洞、2018・第2版)の補遺を下記の通り公開します。紙媒体にあった図版は省略しております。
なお、同書についてはこちら
https://anachrism.hatenadiary.com/entry/20180106/1515213168
通販についてはこちら
https://anachrism.hatenadiary.com/entry/20991231/1418647781

 

 


◎イギリス・ウェールズ地方の散文物語集「マビノギオン」は、詩人による口承の物語を本にまとめたものであると考えられている。中の一篇「キルッフとオルウェン」は、アルスル(=アーサー王)の従兄弟にあたる主人公キルッフが巨人の長イスバザデン・ペンカウル(もしくはイスパダデン・ペンカウル)の娘オルウェンと結婚するため、イスバザデンが出した難題を解決するという物語である。このイスバザデンは、家来が
a.さすまたで目にかぶさった眉を持ち上げないと
 あるいは
b.熊手で目にかぶさったまぶたを持ち上げないと
 相手を見ることができない、とされている(aとbがある理由は後述)。この記述はヴィイとの関係からいくつかの点で非常に示唆的である。
 第一に「キルッフとオルウェン」が伝承されていたウェールズケルト神話の伝承地であるアイルランドに近接しているが、本編53ページで取り上げたバロールはこのケルト神話の魔神である。そしてバロールは目を覆い隠すまぶたと魔力ある目を持っているのに対し、イスバザデンは前者のみを持っている。
 また、上記の a、b において目を覆い隠すものに相違があることも注目すべき点である。「マビノギオン」のまとまった写本は成立年代の早い『白い本』と、より完全なテキストを採録している『赤い本』の二種類あり、aは『赤い本』を基にシャーロット・ゲスト夫人が意訳を加えたもの、bは『赤い本』と『白い本』の両者を用いたものの記述である。
 訳が眉とまぶたに分かれている理由がそれぞれの写本の記述によるものか、あるいは翻訳によるものかは不明であるが、仮に写本によるものであれば口承において「眉」と「まぶた」の両方のパターンが存在した可能性がある。換言すれば、ウェールズの口承物語においても眉とまぶたは目を覆い隠す身体的特徴として置換可能であったと考えることができる。
『新版 ヴィイ調査ノート』本編においては、目を覆い隠す特徴(まぶた、眉毛、まつ毛)と魔力ある目はスラヴの伝承においてしばしばセットで現れること、また前者の特徴だけを持つ神話的存在も「牛の子イワン」における魔女の夫など複数存在することを記述したが、スラヴ以外での事例としては両者がセットであらわれるバロールのみを確認していた。
 イスバザデンという事例からは、
・スラヴ圏から離れた場所(アイルランドおよびウェールズ)でも目を覆い隠す身体的特徴を持つ神話的存在が複数確認される
・その事例において魔力ある目を伴うケースと伴わないケース、両方が存在する
・スラヴ同様、目を覆い隠す特徴がまぶた/眉毛 のいずれでも伝承が成立する(可能性がある)
 といった点が確認できる。事例が少ないことから明言はできないが、スラヴ周辺の民話だけでなく、より広い視点でヴィイの源流を捉えることが可能となるかもしれない。
 なお、「キルッフとオルウェン」は結婚に伴う難題を一芸に秀でた仲間の助力で解決する、という点で「牛の子イワン」と類似しているが、民話等の話型としてはポピュラーなものであるため直接の関係を推測するには弱い。

◎『新版 ヴィイ調査ノート』本編I 2‐1でレフキエフスカヤ論文を引き、「ヴィイ」の三晩の祈祷はウクライナに広く伝わるモチーフを基にしていると述べた。同論文にはこのモチーフがアールネ/トムソンの『昔話の話型』における話型番号307に当たるとの記載がある。『昔話の話型』はアンティ・アールネが昔話の型をカタログ化し、スティス・トムソンが増補したものである。また同カタログをハンス=イェルク・ウターが大幅に改訂したアールネ/トムソン/ウターのカタログ(ATU)においても話型番号307(ATU307)は同一の話型を指している。
 ハンス=イェルク・ウター著 加藤耕義訳『国際昔話話型カタログ 分類と文献目録』(小澤昔ばなし研究所、二〇一六)は上記ATUの話型記述、注、索引の全訳であるが、同書中でATU307は「棺の中の姫(旧,死に装束を着た姫)」と題されている。話型の説明において、死んだ少女の棺を三晩見張りすることや少女が毎晩棺から起き上がること等は書かれているが、ヴィイに該当する存在については触れられていない。本編45ページで取り上げた「王女の呪いを解いた商人の子イワン」のように、こうした話型において必須要素ではないためと考えられる。なお同書の記述を見ると、類話がウクライナやその近隣のみならず、イタリアやインド、東アフリカ他かなり広範囲で採集されているようである。

 

II
◎iOS・Android用ゲーム『Fate/Grand Order』(TYPE-MOON、二〇一五~ 以下『FGO』と表記)にヴィイが登場した。
 メインストーリー第2部「Cosmos in the Lostbelt」の序章「序/2017年 12月31日」第7節(二〇一七年十二月三十一日配信)および同部第1章「永久凍土帝国アナスタシア 獣国の皇女」(二〇一八年四月四日配信)の登場人物であるアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァが、ヴィイと契約し、その力を使うことができるとの設定である。また同四月四日からプレイヤーが操作可能なキャラクター(サーヴァント)の一人としてもアナスタシアが登録された。
 作中において、ヴィイゴーゴリの創作妖怪であること、またその源流となるような似た伝承がスラヴにあることが言及され、ソロディヴィイ・ブニオおよびボニャクの名が挙がっている。本作のヴィイはロマノフ帝国と契約している精霊であり、その能力は「その魔眼であらゆる秘密を暴き、城砦の弱点を見つけ出し、更には敵対する者を血に染め上げた」「全てを見透かす眼球は、因果律すらもねじ曲げて弱点を創出する」(アナスタシアのプロフィール文より)とされている。またケルト神話のバロールとの関係が示唆されている。
 ゲーム内では黒い靄で形成された、あるいは覆われたような姿で描かれ、アナスタシアの背後に表示される(図版省略)。
 キャラクター画像および通常攻撃時は、木の根のような手足らしき部位と地面につくほどではないが長いまぶたを持つ。「宝具」と呼ばれる攻撃をする際には巨大化すると共にまぶたと思しき箇所が地面につく長さになる。特定の状態時のみとはいえヴィイのまぶたが原作どおり地面に届く形で描かれるのは日本では珍しいケースである。速水螺旋人『靴ずれ戦線 ニコライ・ワシーリエヴィチの怪物 準備号』(本編 図30)が近い例であるが同作品ではまぶたは地面に届いていない。
 目から光線を放って攻撃する描写があるが、前述のとおりヴィイの源流としてソロディヴィイ・ブニオ等に言及していることから、それらが視線で人や町を滅ぼした伝承を意識したものと考えられる。
 なお『FGO』の関連書籍である『Fate/Grand Order カルデアエース』(KADOKAWA、二〇一七)中の桜井光の小説「英霊伝承 ~エレナ・ブラヴァツキー~」でも、ごくわずかではあるがヴィイに言及している。また、原作 : TYPE-MOON 漫画 : 経験値の、『FGO』のキャラクターが登場するギャグ漫画である「ぐだぐだエース(仮)」#08(『【電子版】コンプティーク』二〇一八年六月号 KADOKAWA)にも1コマおよび欄外一箇所にヴィイが登場する。
◎本編107ページで取り上げた『靴ずれ戦線 ニコライ・ワシーリエヴィチの怪物 準備号』の完成版に当たる『靴ずれ戦線 ニコライ・ワシーリエヴィチの怪物』(ボストーク通信社)が二〇一七年十二月三十一日に刊行された。内容に変更はないが、ヴィイスクリーントーンが貼られている。

岩佐あきらこの漫画「阿佐ヶ谷Zippy」第26話「犬神筋の一族」および第27話「Fox Tail」に、登場人物の一人が呼び出した<召喚獣>としてヴィイと呼ばれる存在が登場する(単行本5巻に収録、初出…『月刊Gファンタジー』二〇〇三年十一月号・十二月号、スクウェア・エニックス 図版省略)。
 人の形に近い姿をしているがかなり巨大に描かれている。目にまつわる描写は特になく、人間を手で掴む、口から光線のようなものを吐くなど、行動や姿は「ヴィイ」とはかけ離れたものである。
 このヴィイと同時に、火を吹く一本足の巨大な鳥が召喚獣として登場しているが、この鳥は畢方と呼ばれている。畢方は『山海経』西山経等に記されている一本足の鳥であり、これが現れるとその邑に妖しげな火がおこるとされているため、作中の畢方はこれを元にしていると考えられる。同時に召喚された一方が実際に文献に記されたものを元にしていることから、ヴィイもおそらくは「ヴィイ」を基にしているが、何故「ヴィイ」での特徴が踏襲されていないかは不明である。

 

III
◎『水木しげる漫画大全集別巻5 補遺/草案・備忘録抄』(講談社、二〇一八)「草案・備忘録抄」の項にはスケジュール帳に書かれた水木のアイデアスケッチ等が年代順に掲載されているが、一九七九年にまぶたを下ろしている状態と自らの手で持ち上げている状態の2種類のブイイが描かれている(図版省略)。
 編集委員会によって付されたと思しきキャプションには「ヴイイの絵であるが、なぜ描かれたかは不明。」とある。
 このスケッチが描かれたのと同年に発行された『テレビマガジン』一九七九年五月号掲載の「おばけのムーラちゃん」に土精グイイが描かれていることから、それに関連したスケッチだと考えられる。
 なお「おばけのムーラちゃん」以前に同様の姿のブイイ(土精)が漫画に登場するのは『別冊少年サンデー』一九六七年三月号掲載の「死人つき」、以降に登場するのは『月刊少年ポピー』一九八一年三月号掲載の「ゲゲゲの鬼太郎」「妖怪実力選手権大会」と、いずれもスケッチと年代が異なるという点も、このブイイの絵が「おばけのムーラちゃん」に関連して描かれたという推測の傍証になる。


参考資料
岩佐あきらこ『阿佐ヶ谷Zippy 5』(スクウェア・エニックス、二〇〇四)
ハンス=イェルク・ウター著 加藤耕義訳『国際昔話話型カタログ 分類と文献目録』(小澤昔ばなし研究所、二〇一六)
シャーロット・ゲスト著 井辻朱美訳『マビノギオン ケルト神話物語』(原書房、二〇〇三)
中野節子訳『マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語集』(JULA出版局、二〇〇〇)
速水螺旋人『靴ずれ戦線 ニコライ・ワシーリエヴィチの怪物』(ボストーク通信社、二〇一七)
水木しげる水木しげる漫画大全集別巻5 補遺/草案・備忘録抄』(講談社、二〇一八)
山海経 中国古代の神話世界』(平凡社、一九九四)
Fate/Grand Order カルデアエース』KADOKAWA、二〇一七)
『【電子版】コンプティーク』二〇一八年六月号 KADOKAWA
Fate/Grand Order』(TYPE-MOON、二〇一五~)

 

新版 ヴィイ調査ノート 補遺
2018年8月12日   初版第一刷発行
◎ 著  者   麻野嘉史
(blog:祭竒洞 http://d.hatena.ne.jp/anachrism/)
◎ 編集協力   くまみ、tricken
◎ 発  行  祭竒洞

『新版 ヴィイ調査ノート』頒布等のお知らせ

長らく放置して、思い出したように再起動する。
それがこのblogの良いところ。
本年もよろしくお願いいたします。

ヴィイ調査ノート』のさらなるバージョンアップを行いましたので、
遅ればせながらご連絡いたします。
過去の『ヴィイ調査ノート』(初版・増補改訂版)については過去のエントリ参照ですが、ざっくりと説明いたしますと、

◎ロシアの文豪ゴーゴリ怪奇小説ヴィイ」。水木しげるの漫画「異形の者」
 「死人つき」の翻案元であり、一部でカルトな人気を誇るソ連映画
 「妖婆 死棺の呪い」(別題:魔女伝説ヴィー)の原作でもあるこの作品に
 登場する魔物がヴィイである。
 近年もロシアの映画「レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺」に
 ヴィイが登場している。

ヴィイは地面までつくほど長いまぶたを持ち、そのまぶたの奥に隠された目は
 普通の魔物が見ることが出来ない結界をも見通すことが出来る。
 ゴーゴリは、この題材を民話からそのまま取った、としている。

◎識者の間では、この魔物はゴーゴリの創作であり民話そのものには登場しない、
 という意見が優勢であるが、ゴーゴリの故郷であり「ヴィイ」の舞台でもある
 ウクライナを中心に、ヴィイを髣髴とさせる伝承が数々残されている。
 また、スラヴ古代の神こそがヴィイの源泉である、という説もある。
 ヴィイの背景には一体何がいるのか。

◎一方、日本では昭和の妖怪図鑑ブームの中で世界の妖怪が取り上げられ、
 ヴィイも様々な外見でそこに登場する。
 その描かれ方は大きく分けて概ね三つの系統があった。
 こうした図鑑などの影響下で、漫画やゲームにもヴィイは登場する。

◎妖怪を語る上で欠かせない漫画家・水木しげるも漫画や図鑑にヴィイ
 登場させるが、その姿にも媒体・時期によってバリエーションがあった。
 その理由とは。

ヴィイの正体と日本での広がりに迫る、(多分)超絶(おそらく)怒涛、
 一冊丸ごとヴィイの本!
ソビエト・ロシアでは、妖怪があなたをウォッチする!」


というような感じの同人誌でした。

その後、更にさらに情報が集まってきたため、新版として改訂いたしました。

前回から進歩、変化した具体的な内容についていくつか説明。

 ◎表紙をイワン・ビリービン調に加工。
  熊倉隆敏先生による過去の版の表紙絵は口絵として完全収録。

 ◎「ヴィイ」に関する映画についての記述を充実。
  なんと帝政ロシア時代に?

 ◎前回までは一応「事実の羅列」を中心にしてきましたが、
  今回は多少論理構成を重視した記載になっております。
  後世の踏み台として。

 ◎図版を8点追加。

 ◎「ヴィイ」の翻案として有名な水木しげるの漫画「死人つき」。
  妖怪のミイラの写真んが話の一つのキーとなっていますが、
  そこには一つの謎がありまして……というお話を注釈に記載。


などなど。

ページ数は前回からさらに増えて168ページ(+口絵2ページ)!
頒布価格1,500円です。

先般の冬コミC93三日目で頒布したのですが、こちらでの告知はすっかり忘れておりました。
こちらで通販してます。

甚だ簡単ではございますが、以上です。
思い出したら追記します。

『新版 ヴィイ調査ノート』通販について

ウクライナ・ロシア妖怪ヴィイを調べ倒した同人誌『新版 ヴィイ調査ノート』(内容はこのエントリ参照)は現在のところ、即売会および鳥取市内にある定有堂さんに数冊置いて頂いている分を除いてはジカ通販のみで取り扱っております。
自家通販かつ直通販。


手順としては以下のとおりです。
 1:メールにて御連絡頂く
 2:事務的なやり取りなど
 3:不思議な力により本が届く

まずはメールタイトルを "『ヴィイ調査ノート』通販希望" とし、希望冊数を記載の上、
 jichinsai雑gmail.com の雑を@に変えたアドレスに御連絡ください。

 *なお、メール送付後一週間経過しても返信がない場合、
  フィルター等で届いていない可能性がありますので、
  お手数ですがこの記事にコメントを頂きたく、よろしくお願いいたします。
  メールをうまく送れない場合もこの記事にコメントを下さい。

基本的な料金は、諸々の代金(梱包、送料等)込みで一冊1,800円とさせていただきます、ご了承ください。
また、振込手数料が発生する場合はご負担をお願いしたく、よろしくお願いいたします。

なお、家内制手工業で作業を行っているうえ、世を忍ぶ仮の本業や世を忍ぶ仮の日常生活などもあるため、事務作業や返信には御連絡を頂いてから多少時間がかかる予定です。
あしからずご了承ください。


【H28.08.23追記】
在庫僅少となったため、通販は終了とさせて頂きます。
もしも再販等の場合はまたこちらで告知いたします。

【H30.01.06追記】
在庫がパワーアップして復活しました。
新版の発行に伴い、増補改訂版 → 新版 へと記述を変更。

【R01.12.25追記】
人気ソーシャルゲームFate/Grand Order」に、H29.12.31からヴィイが登場しております。
同ゲームにおけるH30.7.20時点までのヴィイ情報をまとめ、『新版 ヴィイ調査ノート』の関係箇所と紐づけた16ページの小冊子『新版 ヴィイ調査ノート FGO異聞』を通販時に+100円で同封いたします。
入用の方はメールにその旨をご記載ください。

『増補改訂版 ヴィイ調査ノート』を倒すための御題いくつか

『増補改訂版 ヴィイ調査ノート』(内容はこのエントリ参照)につき、補遺の作成後に集まった情報などを含め、未解決の問題などを雑多に記載しておきます。
メモなので読みづらいかと思いますがご容赦ください。
どなたかにこれらを調査して頂き、ヴィイ本が「日本でいちばんくわしい」の座から引きずり降ろされることを切望しております。
なお章立ては本編に従っています。

〜〜〜〜〜〜

0
ヴィイの映画化について。

2014年のロシア映画ヴィイ3D」は2015年に「レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺」という邦題でDVD化、株式会社トランスフォーマーより発売。
(販売版は英語+字幕。レンタル版は吹き替え?)
http://www.transformer.co.jp/products/TMSS_315.html

また8月8日からの1週間、京都みなみ会館で単館上映。
http://kyoto-minamikaikan.jp/archives/21870

字幕版での言語が英語であることから、日本語版は英語版が元になっていると思われる。
(ロシアには映像作品等の輸出規制があるとの情報あり、その関係か?)
なおロシア語版に比べて日本語版は内容が一部カット、またラストシーンが付け加わっているが、英語版での変更か日本独自の変更かは不明。
このあたりについて正確な情報を調査、整理する。

〜〜〜
上記映画の続編「ヴィイ2 中国への旅」にヴィイが出てくるのかどうかを確認する。

〜〜〜
ヴィイ本に書いたヴィイが原作の映画「血ぬられた墓標」「妖婆 死棺の呪い」「デモンズ5」「Sveto mesto」「Ведьма」「レジェンド・オブ・ヴィー」を見比べたら面白いのでは。

〜〜〜
20世紀初頭の1909年、1916年にヴィイが映像化されていたらしい、という情報あり、詳細を知りたい。ロシア帝国時代なのでフィルムなんぞ残ってないかと思いますが、スチールか概要の分かる文章だけでも。1909年版はワシリー・ゴンチャロフ監督、1916年版はウラジスラフ・スタレーヴィチ監督のようです。


I
全体的には、ウクライナおよびロシアなど現地、あるいはアメリカなど進んでそうな国の研究を掘ればヴィイ本でノータッチの部分が出てくるのではないか。

個別具体で言うと

ブニャク/ブニオについて(どうでもいいけどフニャコフニャ夫っぽい)は、遊牧民のリーダーが妖怪なり吸血鬼になるまでの過程をもう少し詳細に調査できると良い。
また、ゴーゴリがブニャクのことをどの程度知っていたか、ゴーゴリの創作ノート等が調べられないか。

p8 ソロディヴィイ・ブニオが滅ぼした町があったボホト(Бохот)はボヒト(Бохит)では?
ロシア語wikipediaにもあるけど、何らかの聖地っぽい。
ここについて伝承を拾うと、何か見つかるかも。

p19 王女が巨大に育てた蚤の正体をまぶたを持ち上げさせたブニャクが見破っている。
ロシア近辺に類似の民話が複数あることを確認したが、
この場合見破る(ブニャクの役目をする)のは悪魔であり、まぶたを持ち上げるくだりはない。
見破られるのは巨大に育てた蚤の皮。
ブニャクと悪魔が類似品のようであるが、類似の民話をもう少し拾えば何かわかるのでは?

〜〜〜
聖カシヤーン(p27〜)については、民話キャラとして、魔物として、中でも邪視を持つ魔物として、という3段階で、きっちり分けて考える必要があるのかも。
何故カシヤーンが魔物化したか、というところ、そして邪視を持つとされた理由について「ロシア民俗夜話」以上に何かわかるといいな。

〜〜〜
インターネットで調べると、ヴィイが神様扱い、特にネオ・ペイガニズムの文脈でペルーンとかと並んで神々の一人として登場したりしている。そしてНий(ニィ)という神(地下の神らしいが詳細不明、インターネットでは海の神としているものもある)と 習合していたりする。
p30辺りから書いたとおりヴィイを神様とみる流れはアファナーシェフ『スラヴ人の詩的自然観』(1865)からあったけど、「流刑の神々」みたいな考え方がいつからあって、いつロシアに入り、どこに影響を与えたか。
そして、ヴィイは何故神格化され、それが今に至るまで残っているのか(俗説レベル・信仰レベル)

〜〜〜
不死身のコシチェイにも重いまぶたを持つというパターンの伝承があるとのこと。p36あたり参照。
どういう地域で、どういう形の話の中で残っているのか。

〜〜〜
吸血鬼ヴィイ(p55)についてはもうちょい調べる価値があるんじゃないだろうか?

〜〜〜
インターネットでВийで検索すると出てくる絵について、出所を確かめるだけで十分いい仕事になりそう。

〜〜〜
図版で言えば、「ヴィイ」は現地で絵本になっているのでその辺りもチェックしたい。

〜〜〜
その他、ヴィイ類似伝承についてまだまだあってもおかしくないので調べる。


II
ヴィイの翻訳を全部見比べたら面白いのでは。

〜〜〜
最初の和訳である伊吹山次郎の時点で「ヴィイ」が創作である旨意識されていた。この情報の出所はどこだったのか? 現地の全集か何か?

〜〜〜
「妖怪画談全集」のヴイーの絵の出所はどこなのか。

〜〜〜
今後新たなヴィイの絵が現れるとすればカードゲームかソシャゲあたりではないかと睨んでいるので、その辺りに目を光らせておくと良いのではないか。


III
水木しげる漫画大全集 012 貸本漫画集12異形の者他』(講談社、2015)資料ページに「異形の者」未使用コマについて書かれている。補遺で紹介したコマに加え、その直前と思われる「ごめん 一夜の宿をお願いしたい」と僧侶が声をかけるコマ、空き家を描いたコマが2コマが残っているようである。全集中には後者につき「空き家ばかりの廃村に迷い込むという設定」と書かれている。これらは「ヴィイ」の前半部分の翻案であろうと思われる。なお補遺で確認した資料では「やまんば」を「妖婆」と書いているが、全集資料中の同コマでは(「異形の者」本編と同じく)「妖姥」としているなど、植字部分にやや違いがある。この詳細について。また全集では「この段階では舞台は越後ではなく、下北であった可能性が高い。」と書かれているが、そうであるとすれば妙智寺の人魚のミイラ写真を見たことが翻案のきっかけではないということか? 「異形の者」には「一葉の妖怪のミイラの写真からこの物語を想像してみたのです。」と書かれている。

〜〜〜
水木全集で書かれるまで気にしていなかったが、「死人つき」発表と「妖婆〜」製作は同年である。何か連動するようなきっかけがあったのか(多分ない)

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埴谷雄高武田泰淳ヴィイに喩える文章を書いている。また武田泰淳は「異形の者」というタイトルの小説を書いている。そしてそれらよりも後に水木しげるが「ヴィイ」を翻案した「異形の者」を描いている。武田泰淳の「異形の者」が僧侶の話であることも含め、何か関係があるか。

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思いついたら追記します。

水木しげる「錬金術」 の元ネタについて雑記

思えば自分にはブログがあった、ということでこちらで公開。


水木しげる錬金術
・初出は1967年04月の『ガロ』*1
ねずみ男扮する丹角に騙されて「猫の頭などを金に変える方法」を追い求める家族を描いた話
・12ページで当時小学生だった私の人生観をみごとにひん曲げたド名作なので読むべし。


錬金術」の作中には錬金術の方法として「無上九還丹の秘法」、「唐土伝来の「もがりの術」」が登場するが、滝沢馬琴『近世説美少年録』第二十六回にある偽修験者・舌兪道人の偽錬金術の話の中にそれらの単語がある。

「扠(さて)も件の一方ハ無上九還丹(むじゃうきうくわんたん)と名つけたり是則唐山(からくに)なる道士丹客(たんかく)の傳法にて我先祖渡唐の日傳授せられし神訣也且(まづ)かの法に遵(したがつ)て十両の金を煉取らんと欲するときは(以下略、一両の黄金に九両の黄銅(しんちう)と汞(みづかね)、藥種を加えて煉る云々。銀についても同様に説明。)」

上記をすぐに実践して見せ、それらを火にかけて煉ったものが黄金になった――とするが、直後に地の文でこれがトリックである旨説明。

「誰か知るへき此ハこれ縮金の法にして一両の黄金を縮めて粟粒ばかりにせしに黄銅(しんちう)汞(みづかね)藥種を加えて稍久しく煉る期ハ其黄銅と汞は盡く消失て那縮金のみふくだみていと大きくなる也便是(すなわちこれ)騙賊(もがり)の術にて其黄金の殖(ふゆる)にあらず形の大きくなるのみなりしを愚俗多くハ瞞(くらま)されて實に金の殖(ふえ)たる也と思ハざるものあるを稀也今大夫次もかの類にて(以下略)」*2

なお前後のあらすじはよろめき亭(http://www5b.biglobe.ne.jp/~bakin/index.html)さんによる第二十六回(http://www5b.biglobe.ne.jp/~bakin/kinsei/arasuji/vol3.html#st-26)あたりを参照していただきたい。


・「錬金術」と『近世説〜』いずれも術により黄金が生み出せる(『近世説〜』の場合、正確には増やせる)と騙される話である。

・「騙賊(もがり)の術」は原文では錬金術の名前ではなく、騙しの方法、といった意味。

 「もがる」には「言いがかりをつけて金品をねだる。ゆする。たかる。」の意味がある*3
 唐土伝来、とは書かれていないが、この話の錬金術自体が唐土のものということになっている。

・「錬金術」に「よく世の中にふところ手しながら遊んで暮らす奴がいるだろう あれはみんな祖先が鍛金、錬銀の秘法」を発見したからなんだ」という台詞があるが、『近世説〜』の偽修験者も温泉地で豪遊し、理由を尋ねると「先祖に渡唐のものありて煅金煉銀の一法を傳えたりよりて黄白(きんぎん)に富(とめ)るのみ」と返す。

・また、「近世説〜」の錬金術は「唐山(からくに)なる道士丹客の伝法」であるが、これは字は違えど「錬金術」に登場する丹角と同じ「たんかく」という読みである。

以上のことから『近世説美少年録』が「錬金術」の元ネタであろう、というお話。
(H26/12/15追記:ふしぎあんさんから、「直接原典を参考にしたのではなく、近世説美少年録を参考にした忍者小説とか歌舞伎辺りを孫引きした可能性もなきにしもあらず」とのご指摘を頂きました。そうかもしれない。)


ついでに、『近世説美少年録』のこのくだりの更に元ネタは、おそらく『初刻拍案驚奇』巻十八「丹客半黍九還 富翁千金一笑」*4か、その再録っぽい『今古奇観』第三十三巻「誇妙術丹客提金」*5と思われる。
『今古奇観』はどうやら『初刻拍案驚奇』などからの抄録のようなので、タイトルを除きほぼ同じと思われる。
両者の訳*6 *7を当たってみたところ、内容としてはほぼ違いがなかった。*8

これらの話では、丹客が金持ちを騙す話になっている模様。
馬琴はこれを踏まえて錬金術を「唐山(からくに)なる道士丹客の伝法」としているようである。
金持ちに見せかける冒頭部、最初のトリック(縮銀の法)から始まり、馬琴の該当部と筋が同じであるため、このエピソードがほぼ完全な下敷きと考えられる。
これは前述の訳文が載っている本の解説にも明記されている。

「九還丹」は登場するが、「無上」はつかず、また「騙賊」という表現は原文に登場しないなどの理由から、水木がこちらを直接参照した可能性は低い。

「丹客」は訳ではいずれも「錬金師」となっているため、人名でなく錬金術師という程度の意味に取って良いと思われる。
馬琴が「道士丹客」の丹客を人名として扱ったのか、道士・丹客という並列として書いているのかは不明。
水木はこれを前述のように文字を変えて人名としている。

更に更にこれらの元ネタ(?)は
・『剪桐載筆』に載する王象晋「丹客記」
・馮夢龍『智嚢補』巻二十七「丹客」(同『古今譚概』第二十一譎智部「丹客」もほぼ同内容)
とのこと。


今後の気になる点
・「四精七体の粉末」等、他の部分は水木のオリジナルかどうか 、別の元ネタがあるか(あるいは自分が見落としているだけで『近世説〜』にあるのか)
・水木が参照した文献はどれか(あの時期手軽に入手できる本で『近世説美少年録』、すくなくとも該当部分の抜粋が載っていたのは?)
・(H26/12/15追記)↑に関連して、水木が参照した文献は本当に『近世説美少年録』だったのか、あるいはそれを引用した何かなのか。
 

*1:水木しげる作品不完全リスト」(http://www.lares.dti.ne.jp/hisadome/mizuki_2.html)より

*2:国会図書館デジタルコレクション 『近世説美少年録』(銀花堂、明治20年)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/878361)の181枚目(345P)より引用。

*3:goo辞書「もがる」(http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/218821/m0u/%E3%82%82%E3%81%8C%E3%82%8B/

*4:『初刻拍案驚奇』巻十八「丹客半黍九還 富翁千金一笑」(http://open-lit.com/listbook.php?cid=18&gbid=92&bid=3687&start=0

*5:『今古奇観』第三十三巻「誇妙術丹客提金」(http://open-lit.com/listbook.php?cid=33&gbid=121&bid=5616&start=0

*6:「丹客半黍九還 富翁千金一笑」…『中国文学大系 : 全訳. 第1集 第16巻』(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1663529)中の「錬金師の愛妾」

*7:「誇妙術丹客提金」…『今古奇観 : 明代短編小説選集』(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1674656)中の「妙術を誇して 丹客 金を提ること」

*8:なお『中国千一夜』(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1670701)に「仙薬」として訳されているとのこと、未見。